大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ラ)292号 決定

よつて判断するに、本件抗告の本案訴訟は、相手方が昭和二十七年九月二十五日為した群馬県新田郡綿打村会議員の欠員四名につき同年九月五日補欠選挙を施行する旨の告示の取消を求めるものであることは、抗告人提出の本件申請書の記載によつて明白である。

おもうに公職選挙法の規定によれば、地方公共団体の議会の議員に対する選挙に関する争訟については、選挙管理委員会に対する異議、訴願を経て高等裁判所に出訴する方法のみが許され、しかも選挙争訟においては、専ら公職選挙法の定めるところに従い、選挙終了後選挙そのものの効力を争うべきであつて、選挙手続を構成する各個の行為につき独立の争訟を許さない法意であることは明白である。従つて、右本案訴訟は、本来許されないものであるから、このような本案訴訟の提起を前提とする本件申請は認容すべきでなく、これを却下した原決定は相当であつて、抗告人の抗告は理由がないから、主文のとおり決定する。

(裁判官 大江保直 岡咲恕一 猪俣幸一)

抗告の趣旨

昭和二十七年九月二十七日前橋地方裁判所が為した申請人等の申請を却下する旨の決定を取消す。

被抗告人群馬県選挙管理委員会が昭和二十七年九月二十五日に為したる新田郡綿打村議会議員の欠員四名に付き同年十月五日補欠選挙を施行する旨の告示は本件訴訟の判決確定に至る迄其の執行を停止する旨の裁判を求む。

抗告の理由

抗告人等の行政処分執行停止申請の趣旨並本訴の請求趣旨及夫等の請求原因理由は何れも本件申請書記載の通りであるから之を引用する。

原裁判所は選挙とは選挙の管理執行に関する一連の集合的行為を総称する観念でかゝる行為を違法として出訴する場合には選挙の終了後に於てその効力を争ふべきであつてこれを構成する告示等の各行為に付き独立の訴訟をすることを許すべきでないからかゝる本案訴訟を前提とする限り本申請は認容出来ぬとの理由で之を却下したのである。

此の理由は一般公益的見地から選挙の管理執行に関する規定の違反を理由として出訴するが如き場合に認容せらるべきものであつて本件の如く選挙せらるべき四名の欠員のないのにその選挙の終了を待つてその効力を争う様な迂遠な方法しか許容されぬということは到底肯定し得ないのである。

本件は洵に明かである如く議員の職を失わむ抗告人等が選挙の施行によつて侵害せらるべき権利を保護する為め事前に之が救済を求むるもので所謂選挙争訟とは趣旨を異にする別個の公法上の権利関係に関する訴訟で本訴は適法であり従つて本停止申請も許容せらるべきものと思料する。

本件告示に依る選挙の施行日は来る十月五日であり急迫して居るので速に抗告趣旨の如き裁判あらむことを希求する次第である。

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